あらすじ
空には天蓋がある。
蒼白い光の格子が地球を覆い、その向こうに「上位存在」がいる。
このことを、人類は知っている。
世界は三つに分かれた。
天蓋を受け入れる者。管理する者。否定する者。
元研究者の灰島凛は、三年前に唯一の「応答」を受信した男だ。
上位存在からの返答はたった一文──「自由意志はない」。
その実験で助手を死なせた。
残された問いは一つ。
盤面更新まで、あと182日。
天蓋が書き換わるとき、人間の記憶も書き換わる。
凛は第二の応答を追う。
死んだ助手の妹。助手の記憶で動くAI。管理局の長。否定派のリーダー。
それぞれの正義が交差する中で、凛は問い続ける。
──この意志は、本物か。
「掌の中でも、空を見上げることはできる」