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八十九歳の源吉は、妻のお松との口げんかのはずみで、ごぼうを振り上げる。 だがその瞬間、手の中のごぼうは、幼い日の誇りと拍手に結びついた「相棒」へと変わっていた。収穫祭の記憶、若き日のお松の笑顔、胸の奥に残っていた小さな自尊心。 けれど現実は、晩ごはんのきんぴらへと引き戻してくる。老夫婦の可笑しみのなかに、人生の哀しさと愛しさがにじむ短編。