あらすじ
「フェルティナ嬢。私と婚約してくれないか」
とある国の辺境に位置するセルヴァラントという領地。身め麗しい美貌の持ち主であるフェルティナは、セルヴァラントを治める領主の一人娘である。
その屋敷でフェルティナに婚約を迫るのは、王都で国の政を任される有力貴族、ヴァレンシュタイン家のその嫡男。
自分よりも遥か上の爵位を持つ、公爵家嫡男の求婚を何としてでも断りたい理由がフェルティナにはあった。
「絶望的なまでに食事の嗜好が合いませんわ……」
フェルティナはこってりと味が濃く、重量感のある食事を好むのに対しう、ヴァレンシュタイン公爵は極端な菜食主義者であった。
もし生涯を共にしたとして、献立の主導権は爵位の高いあちらにある。
あの人と同じ食卓を囲むなどありえない。
一目惚れで始まった婚約話。
ならば、それを終わらせるために。
「何が何でも太って見せなければ……」
これは、婚約話を破談にするため、皆に隠れて夜な夜な街に出ては高カロリーな食事を嗜む、とある辺境伯の令嬢の話。