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引っ越し先のアパートで見つけた中古の冷蔵庫。最奥の一列だけは、いくら詰めても奥へ飲み込まれる“別空間”だ。そこに並ぶのは見覚えのない食材と、知らない筆跡のラベル。「買っていないのに入っている」。不可解はやがて“期限”として噛みつく——賞味期限が切れるたび、台所の誰かの体調が崩れ、寿命の“日数”が剥がれる。捨てられない。食べられない。・・・
終電を逃し、最終便の路線バスに乗った新人記者の早瀬は、後部の擦り切れた一人掛けに気づく。「交換座席」と落書きされ、肘掛けには古いお守り。乗客に席を譲り続ける白髪の老人は、その席だけは絶対に譲らない。停留所ごとに小さな入れ替わりが起きる——借金癖が消え、潔癖症が移り、記憶の一部や“声の調子”まで入れ替わる。