あらすじ
魔法の存在しない世界に転生した少女――コトミ。
かつて魔術師として生きた、異世界テスヴァリルへの帰還方法を見つけた彼女は、同じ境遇の少女たちと共に、ついにその扉を開く。
だが、懐かしいはずの地に足を踏み入れた瞬間、コトミは気づく。
――この世界は、もう『あの頃』のテスヴァリルではなかった。
草木の湿った香り。
息を潜める魔物。
日常のように繰り返される盗賊討伐。
懐かしいはずの光景の裏に、かすかに漂う違和感。
滅びたポスメル国王都リリガル。
第二の王都として繁栄する街ラスティ。
焼き尽くされた集落、姿を消した子供たち、そして黒装束の集団が行う謎の儀式。
旅の途中で再会したギルド受付嬢、知られざる妖精と精霊の関係。
そして、世界の裏側で蠢く『空白の十一年間』の真実――。
少女たちが再びこの世界に現れたその日から、テスヴァリルの均衡は静かに崩れ始めていた。
「もうっ……! いったい、いつになったらスローライフを送れるのよ!」
世界を救うつもりなんてない。
ただ、穏やかに暮らしたいだけ。
それでも、今日も彼女は剣を手に旅を続ける。
――のんびり暮らしたい魔術師の、終わらない旅が始まる。