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春の風が制服の袖を揺らした日、 私は、駐輪場で彼を見つけた。 黒くてさらさらとした髪。 光に揺れたその姿に、なぜか目が離せなかった。 それなのに、どうしてか逃げたくなった。 ――「この人と関わったら、戻れなくなる」 理由もわからないまま、胸の奥にざわめきだけが残った。 通じ合っているようで、通じ合えない。 伝わっているようで、届かない。 そんなふうに、少しずつ始まっていった――交わらない恋の、予感。