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「海にはまだ」(https://ncode.syosetu.com/n6069lv/)続編。 久しぶりに冬の海へ向かった御岳と木崎。震災の記憶が残る土地を前に、御岳は無意識に息を止める。そっと呼吸を促す木崎の吐息に、固まっていたものがわずかにほどけた。波打ち際で足を濡らし、冷えた指先で缶ココアを分け合い、殻付きの岩牡蠣を啜る。派手な出来事はない。ただ、触れない距離を守りながら、互いの時間に少しずつ入り込んでいく。
ジムのスタッフとして働く御岳は、閉館後の温水プールでひとり水に浮かぶ男を見つける。 翌日、海の底を題材に小説を書きたい小説家・木崎奏が、御岳が元ダイビングインストラクターだと知って取材を申し込んできた。 だが御岳は、深い海に最後に潜った時のことを忘れられない。 水音、塩素の匂い、濡れた呼吸――。木崎の浅い息を数えるうち、御岳自身の呼吸もまた揺らぎ始める。 ※一部震災を連想させる描写があります