あらすじ
灰が降る都市。
崩れたビルの影を歩く一人の男――ハルド。
かつて都市を築いた科学者は、
暴走した防衛塔を止めるため、
ふたたび灰の街へと戻ってきた。
残された時間は三時間。
爆発までに辿り着けなければ、
この都市は完全に沈む。
その途中で、彼は“誰かの声”を聞く。
> 『……赦して』
それは風か、幻か。
あるいは、遠いどこかの記録なのか。
同じ頃、祈りを捧げる少女がいた。
そして、冷たい回路の中で目覚めたもうひとりの少女。
彼女たちは互いを知らない。
それでも、見上げる空の色だけが、
どこまでも同じ群青だった。
やがて、その三つの軌跡は重なり始める。
祈り、赦し、記録――。
その全てを見つめる“何か”が、
静かに世界の外から、彼らを見守っていた。
> それは、誰の目でもない。
けれど確かに、ここにいる。
灰の空の下で、
彼らはまだ“朝”を信じている。