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トラックにひかれて死んだ俺は、雑な女神に異世界へ放り込まれた。拾われた先は教会。そこで出会ったのは、冷たくて口の悪い審判者リゼ。この世界には、魔法や剣より深い“ルール”があり、俺はその“世界のルール”そのものを改竄できるらしい。スライム相手にすら無力だった俺だったが、時間を極限まで遅くする異能を発現し、人間型異端「殺人忌」と呼ばれるようになる。そんな中、教会最強の処刑役“教会の剣”が、旧麦畑地帯で死んだという報せが入る。相手は、何度殺されても終わらず災厄となった元農民。教会最強でも勝てなかった怪物を前に、俺は因果をすり替える禁じ手――心臓交換を選ぶ。
駅前の喧騒、コーヒーの匂い、そして床の継ぎ目。 すべてを「正しく」配置しなければ、呼吸の仕方を忘れてしまう。 そんな強迫的な日常を生きる「女」の前に現れたのは、周囲の騒がしさと切り離されたような、真っ直ぐな立ち姿の「男」だった。 惹かれ合う二人の間に横たわるのは、心臓という名の時限装置。 脈動が速まれば、終わりが近づく。 「いける」という確信は、死への最短距離を意味していた。 女医が机に並べた三つの選択肢。 薬か、移植か、それとも――。 極限の緊張感の中で、二人が選んだのは「白紙」という名の猶予だった。 触れれば安心が生まれ、安心は油断を招く。 愛するために、触れない。 共に生きるために、一歩、下がる。 心拍数という残酷なメトロノームに支配された二人が、白紙の地図を手に、終わりなき「停滞」へと足を踏み出す。