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仕事帰り、恵比寿の小さなバー「ななし」に立ち寄るのが、私の日課だった。 カウンターは六席だけ。 奥から三番目が、私がいつも座る席。 ひとつ席を空けたその奥には、いつも静かな男性が座っている。 名前も知らない。 多くを話すわけでもない。 ただ、同じ時間を過ごすだけの関係だった。 けれど、ある夜。 私と彼の間に、いつも空いていた席に一人の男性が座る。 「幸せになれる?」 その問いをきっかけに、 静かだった夜が少しずつ変わり始める。 帰り道。 交わす短い言葉。 触れない距離。 恋は、 大きな出来事から始まるとは限らない。 ただ同じ時間を過ごした夜が、 あとから静かに心を動かしていくことがある。 これは、 恵比寿の小さなバーから始まる 大人の恋の物語。
恵比寿の高級マンションに住む望月沙織は、完璧な容姿とキャリアを武器に「選ばれた女」として生きていた。しかし、隣室に住むだらしない中年女・佐藤美津子の存在が、彼女の平穏をかき乱す。自分とは対極にあるはずの美津子が持つ、底知れない余裕と隠された秘密。観察し、見下していたはずの沙織は、いつしか自分自身が「標本箱」の中に閉じ込められていることに気づく。 自意識が自らを食い破る、剥き出しの心理サスペンス。