あらすじ
小さな閉鎖的な村で、リクは息を潜めるように生きていた。
ある雨の日、村に迷い込んだのは、東国の装いをまとう妖艶な女・ツバキ。
彼女は不思議なほど人の心を惹きつけ、やがて村の中心となっていく。
警戒しながらも、リクは彼女を拒むことができなかった。
ツバキと共に暮らすことで、リクは初めて「居場所」を手に入れる。
だがそれは、自由と引き換えに差し出した、危うい均衡だった。
やがて生まれた子をきっかけに、ツバキが人ならざる存在――精霊であることが明らかになる。
居場所を守るために怪異を受け入れた男と、
人の世を玩ぶ無邪気で邪悪な精霊。
これは、執着によって結ばれた二人が辿る、
逃れられない選択と、その結末を描く物語。