あらすじ
深夜のスマホに届く、たった一言のメッセージ。
『今から来れたりする?』
それは、世界で一番惨めで、世界で一番甘い地獄への招待状。
主人公の麻美は、自分が彼にとって便利な深夜の暇つぶし(※愛情オプションなし)でしかないことを、痛いほど理解している。
それでも彼女は、真冬の深夜にコートを引きずり出し、タクシーに飛び乗ってしまうのだ。アッシュグレーの髪を持つ男、拓真の体温と、嘘くさい柔軟剤の匂いを求めて。
ベッドの上で、彼女は決して口にしてはいけないNGワードを引き抜く。
「私のこと、どう思ってるの……?」
弾が確実に装填された命知らずなロシアンルーレット。当然のように急所を撃ち抜かれるわけだが……彼女のドMっぷりは、そんなことでは止まらない。
帰り道の冷たい夜風の中、彼と同じ煙草を吹かしながら、彼女は固く心に誓う。
「もう、会うのやめよう」と。
――さて、この人類史で何億回繰り返されたかわからない『世界一薄っぺらい決意』は、果たして何日(あるいは何時間)もつのか?
自ら進んで沼の底へダイブしていく一人の愚かな人間の、痛くて、惨めで、どうしようもなく共感してしまう愛と執着のループ劇。