あらすじ
モルヴィアナはフォイルナー男爵家の長女である。
ラペンドルド王国でも位の低い、男爵家の出身である彼女は、生まれた時から"この世界では無い別の世界の記憶"を持っていた。
便宜上前世と定義付けた前の人生は、とにかく思い通りに行かないことだらけ。二回目は楽に自由に好きに生きて、適当な男と結婚してさっさと尻に敷いてしまおうと決めていた。
そんな二回目の人生を、程よく楽しんでいた彼女の前に現れたのは、前世の自分が考えたキャラクター、シェリルだった。──そう、"モルヴィアナ・フォイルナー"は前世、自分が企画した乙女ゲームの中の、名前も記載されていないモブキャラだったのだ。
モルヴィアナが魂を込めて描いたシェリルのシナリオは、どういうわけか破滅に導かれた。
彼女は遠くない未来に王太子から婚約解消を言い渡される。しかも失意の中自殺し、悪魔に取り憑かれ、妖魔として主人公達に消滅させられる運命が待っているのだ。
──王子様が来ないのであれば、私が救えばいい。
モルヴィアナは心からシェリルを愛していたし、シェリルが傷つくのをもう見たくはなかった。
幼い体で人知れず泣きじゃくるシェリルを、母の愛のように見つめた。ただしくそれは慈愛だった。
けれど。
「じゃあ証明してよ。私を愛してるってことを」
彼女の周りは酷く冷たく酷く恐ろしい場所だった。だから簡単に心を許せないし、許してしまえばあのゲームのように、破滅エンディングを迎えることになる。
気丈に振る舞うシェリルを見て、モルヴィアナは決意する。
――シェリル、貴方のためだったら私は何でも出来る。
モルヴィアナはあの時作れなかったハッピーエンドを作るために、自分が白馬の王子様になることを決めた。
まずは手始めに、シェリルに相応しい立場を手に入れなければ。
正しく悪女になるために、モルヴィアナは計画を立てることにした。
※ヒーローは存在しますが、恐ろしいことにまだ登場していません。