あらすじ
ダンジョン攻略の主流は、もう“オート”だった。
自動索敵、自動マッピング、自動帰還判断、自動罠解除補助――最新支援端末に判断を預ければ、初心者でもそれなりに潜れる時代。
だが、その便利さの裏で、探索者たちは少しずつ「自分で確認する力」を失っていた。
そんな業界で時代遅れと笑われているのが、四十二歳の中堅探索者・久世誠司。
荷物は自分で積む。進路は自分で読む。異変は自分の目と耳と手触りで拾う。
仲間内からついたあだ名は――完全手積みおじさん。
非効率、古臭い、今さら手動。
誰もがそう笑うそのやり方は、けれど一つだけ圧倒的な強みを持っていた。
事故らない。
オート前提の探索者たちが判断停止で崩れていく中、久世だけは止まらない。
それどころか、彼の“手積み”は単なる慎重さではなく、ダンジョンの揺らぎを最速で読むための、現場で磨かれた技術だった。
これは、自動化全盛の時代に取り残されたおじさんが、
時代遅れと呼ばれた職人技で、生存率と攻略実績を塗り替えていく話。