あらすじ
村で蔑まれていた太郎は、「必要とされたい」という切実な願いを湖に捧げ、自身に酷似した「神」から望みを叶える力を授かります。力を使い村人から感謝された太郎は、やがて「普通に生きたい」と願う女性・花子と出会い、穏やかな日常に満たされます。
しかし、過去の屈辱が心の闇として残り、太郎は力に溺れ、傲慢になります。花子の忠告も聞かず、彼を嘲笑した村人たちを存在ごと消し去るという呪いへと力を暴走させます。この恐ろしい行為を目撃した花子は太郎のもとを去り、絶望した太郎は残りの村人をも消し去ってしまいます。
全てを失った太郎は、真に欲していたのは力ではなく「ただ普通の日常」だったと悟り、最後に自らの存在を消滅させます。
長い時を経て、村は再建されます。生き残った花子は、愛した人の悲劇的な物語を語り継ぎながら、太郎が求めた「普通」は、愛と赦しの中にあることを証明し、二度と悲劇を繰り返さないという静かな誓いを胸に生きていきます。