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冬の深夜。築五十年のアパートは外気と変わらぬほど冷え切っていた。布団の中に逃げ込んだ孤独な空間を支配する、底知れぬ静寂。 だが、安全地帯であるはずの六畳間に、突如として鉄錆と泥の腥(なまぐさ)い匂いが混じる「何か」の気配が満ちていく。 逃げ場のない凍えた部屋で味わうシンプルな恐怖。
鏡に映る自分が、常に現実より「三秒早く」動く。ただの幻覚かと思いきや、三秒後には自分の体が勝手に動き出し、鏡と全く同じ動作をさせられることに気づく。 抗おうとすれば筋繊維が引きちぎられるほどの激痛が走り、体は見えない糸で操られるように鏡と同じ動作をなぞらされる。 少しでも姿が映れば、また身体を乗っ取られてしまう。 極限の恐怖に駆られた主人公は、家中の窓や鏡を塞ぎ、一切の光を遮断した部屋の隅で息を潜めてやり過ごそうとする。