あらすじ
「よし。今日も並の仕上がりですね」
港町シズナで洗濯屋『なみまつ』を営む、青い髪の女・リアロマ。
彼女が洗い上げたシーツは、芯まで光が通るように白い。
頑固な油汚れも、繊維の奥に染み込んだ湿気も、気づいたら消えている。
近所の主婦たちは「魔法の洗濯屋」と噂しているが、本人はいつも「ちょっとしたコツですから」と笑って受け流す。
彼女が一番大切にしているのは、「並」の暮らしだ。
清潔なシーツ。適温のお茶。よく乾いた空気。それだけでいい。
ある夕暮れ、深刻な不眠症を抱えた領主カイルが、ひどく疲れた顔で店の扉を開けた。
リアロマは彼の乱れた「波」を読み、洗濯したてのシーツを膝にかけ、ただ一言だけ言った。
「おやすみなさい」
こうして始まった、洗濯屋と公爵の奇妙な日常。
港の汚れ、屋敷に巣食う悪意の残滓、呪われた古道具、荒くれ者の繰り出す拳——
どんな問題が持ち込まれても、リアロマは「家事の延長」として片付け、満足げに呟く。
「……並の仕上がりです」
のんびり魔法ファンタジー、ゆっくりと開幕です。