あらすじ
家族──両親、妻、幼い子ども。
そのすべてを、魔族たちは“遊び”として殺した。
ただ一人生き残った男は、悲しみの底で壊れ、復讐だけを支えに生きることを選ぶ。
岩を殴り続けた五年。
墓前で剣を振り続けた十年。
魔族の笑い声を忘れないために耳を傷つけた十五年。
老いた体で走り続けた二十年。
村人は応援し、心配し、否定し、嘲り、そして無関心になった。
誰にも見られず、誰にも評価されず、男はただ鍛え続けた。
五十歳になった男は、ついに魔族たちを見つける。
二十年ぶりの再会。
だが、鍛錬では埋まらない“種族の差”は残酷だった。
男は敗れ、首を落とされる。
それでも──最後の瞬間、家族の最期を思い出し、
転がる首だけで魔族の喉元に噛みついた。
二十年の孤独は、誰にも知られないまま終わる。
だが男にとって、それでよかった。
これは、自分だけの復讐だった。