あらすじ
「空」が死んだ階層都市。錆びた雨が降る最下層で、しがない機工医は「機械の心臓」を持つ猫と少女を拾った。
鉛色の雲が垂れ込め、酸性の雨が降り注ぐ巨大階層都市「バビロン」。
その最下層、廃棄物が堆積する「澱(おり)」の街で、元王室技師の老人と共にひっそりと闇診療所を営む機工医・ヴェインは、ある嵐の夜、全身ずぶ濡れの少女・アリアと出会う。
「直して。……この子が、壊れたの」
少女が抱えていたのは、腹部を裂かれた機械仕掛けの猫。
だがその内部で脈打っていたのは、禁忌とされる「生体心臓」だった。
機械と生物を融合させた異端の技術。
それを目撃したヴェインは、都市を支配する「教会」の異端審問官たちから追われる身となる。
逃亡の果てに解析された猫の記憶媒体(メモリー)。
そこに記録されていたのは、有毒ガスに覆われた外界の真実と、存在しないはずの「青い空」の設計図だった。