ページ:1(2件表示) / タグ一覧へ
誠一は子どもの頃から嘘がつけない性格で、建設会社に入ってからも数字の改ざんや不正に決して手を染めなかった。その“まっすぐさ”は敬意と同時に摩擦も生み、社内では疎まれることも多かったが、誠一は「自分を嫌いにしないため」に正直を貫き続けた。 四十七歳の冬、過労の中で脳梗塞を発症し半身に障害が残る。現場監督には戻れずとも、誤魔化しを許さない誠一の“目”を買われ、別の会社で品質を測る「狂わない定規」として再び役割を得る。 仲間の転落や娘の成長を通し、誠一は正直の意味を問い直す。「正直者は馬鹿を見る」。それでも嘘で生きるより、自分を嫌いにならない道を選ぶ。その姿勢は周囲へ受け継がれ、消える白線の先にも“曲がらない矢印”として残っていく物語。
【あらすじ】 「正直者は報われる」――本当に、そうだろうか。 金の斧を落とした木こりは、正直に「金の斧です」と答えた。 女神はそれを認め、しかしもう何も与えなかった。 それでも木こりは満足して微笑む。 やがて泉には、勇者、アスリート、老人、暇つぶしの人々が次々と現れ、 斧だけでなく、剣やメダル、将棋の駒、そして“心”までもが落とされていく。 正直とは何か。 正解とは誰が決めるのか。 そして、試す側は本当に無傷でいられるのか。 寓話「金の斧」を下敷きにした、少し可笑しく、少し皮肉で、 どこか後味の残る連作ショートショート。