あらすじ
東京都内のワンルームマンション。28歳の橋本明日香は、疲れ果てた様子でドアを開けた。
「はぁ...今日も最悪だった」
玄関で靴を脱ぎ捨て、そのままリビングのソファに倒れ込む。テーブルの上には、婚活パーティーの領収書が無造作に置かれていた。参加費8,000円。今月で3回目だ。
明日香は商社で一般職として働いている。仕事は安定しているが、給料は決して高くない。それでも婚活にお金をかけ続けているのは、周囲のプレッシャーがあるからだ。
「明日香ちゃん、まだ結婚しないの?」
「いい人、紹介しようか?」
「30歳までには決めた方がいいわよ」
親戚、友人、職場の先輩。みんな善意で言ってくれているのはわかる。でも、その言葉が重くのしかかる。
スマートフォンを開くと、LINEに友人の恵美からメッセージが届いていた。
『今日の合コンどうだった?』
明日香は溜息をつきながら返信した。
『最悪。年収自慢男、店員に横柄な男、スマホばっかり見てる男...地雷しかいなかった』
『あー、わかる。私も先週そんな感じだった。婚活って本当に疲れるよね』
『疲れた。もう寝る。おやすみ』
明日香はスマホを放り投げ、ベッドに向かった。シャワーを浴びる気力もない。メイクも落とさずそのまま横になった。
その夜、明日香は高熱に襲われた。
体が燃えるように熱い。意識が遠のいていく。そして、彼女は夢を見た。
いや、夢ではなかった。それは「記憶」だった。
異世界グランディア王国
壮麗な王宮。大理石の床。天井まで届く巨大なステンドグラス。そこに立つ自分の姿が見えた。
豪華なドレスを身にまとった金髪の美しい女性。それが「自分」だった。