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正体不明の“声”により、穢れた土地の浄化という使命を与えられた男は、気づけば「王立魔導浄化事業局 第七施行管区」という組織に所属していた。 そこでは名前ではなく番号で管理され、日当は提示されながらも不透明な名目で差し引かれ、作業の安全性は保証されていると繰り返し告げられる。しかし実際には、基準値すら知らされない計測器、理由の記されない手順書、説明のない改訂、そして現場を知らない上層部の言葉だけが存在していた。 男は疑問を抱きながらも、それを深く考えないようにし、与えられた作業をこなしていく。やがて身体にわずかな異変が現れ始めるが、それすらも「気のせい」と処理する。 ある日、同じ荷馬車に乗っていたはずの人間が一人いなくなっていることに気づく。しかし誰もそれに触れず、男もまた問いを飲み込む。 これは、説明されない危険と、見えない搾取と、静かに進行する異変の中で、「考えないこと」を選び続ける人間の物語である。
世界は一度、滅んだ。 大地は汚れ、生物は異形と化し、かつての文明は錆びついた鉄屑となった。 そんな灰色の荒野で、一人の「女」が目を覚ます。 記憶はない。あるのは、身体に刻まれた無数の傷跡と、血液を燃料にして鉄杭を撃ち出す、無骨なパイルバンカーだけ。 肉の苔が生い茂る森、人間を歯車に変える工場都市、重力が狂った空の湖、終わらない夢を見せる楽園。 彼女は各地に巣食う「汚染」を掃除するために歩き続ける。 感謝はされない。称賛もされない。 彼女がもたらすのは、安らかな「死」と、残酷な「真実」だけだからだ。 これは、勇者と呼ばれたごみ処理係(スカベンジャー)の、静かで壮絶な、終わりの旅路。