あらすじ
【深泥池(みどろがいけ)の神樂 編】
江戸初期、京の都の外れの忌まわしき「深泥池」に祈りを捧げた夫婦から産み落とされた少女・神樂(かぐら)。彼女は人ならざるものに選ばれた「貰い人」として村人から忌み嫌われ、十四歳の誕生日に両親を亡くして追放される。絶望の淵にいた彼女を救い、背から生えるおぞましい触手を制御する術を教えたのは、闇祓(やみばらい)の男、月舟(げつしゅう)だった。
【半身半妖 編】
闇祓いの修業を続ける神樂は、師・月舟と共に、強欲な庄屋・松右衛門から「蔵の米を盗む鼠の怪異」の退治を依頼される。潜入調査に向かった神樂が目にしたのは、死臭と病に覆われ、口減らしが行われる絶望的な農村の姿だった。
【時を呑む海 編】
闇祓いの旅を続ける神樂、月舟、そして仲間に加わった半妖の少女・朧は、伝説の残る「大和田の浜」に辿り着く。そこへ、海難事故から生還したばかりの三人の漁師(志郎・藤吉・二平)が浜に這い上がる。しかし、彼らが目にしたのは変わり果てた故郷だった。彼らにとっては昨日の出来事だった事故は、現実には「30年前」の事件であり、彼らは当時の若いままで未来へと放り出されたのだった。
【聖水 編】
景政は、富士の麓に広がる「青木ヶ原樹海」の奥地に湧く、あらゆる穢れを清めるという「聖水」の探索を依頼。しかし月舟は同行を拒否する。
月舟という精神的支柱を失い、パニックに陥る神樂。景政は彼女を懸命に支え、精鋭の部下(玄闘・双子の侍)と共に呪われた樹海へ足を踏み入れる。
そこは、侵入者の記憶や肉体を苗床にする恐るべき魔域だった。逃げ出した人夫たちは、頭部が「実」となって罵り合う異形の樹木へと変じ、一行を襲う。
【温羅 編】
神樂、景政、朧の三人は、いきたまま「食糧(家畜)」か「労働力」の選別される、市の関門を経て、鬼の根城「鬼ノ城」への潜入を果たす。城内では人間が物のように処理され、逆らう者は即座に肉塊に変えられる凄惨な光景が広がっていた。
城の最上階で待ち受けていたのは、圧倒的な威圧感を放つ鬼の王・温羅だった。温羅は、神樂という「穢れの姫」を喰らうことで自らの定めを上書きしようと目論む。