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深夜、新調した4Kテレビに映り込んだのは、検索しても出てこない謎の料理番組。 出演者は、銀髪エルフの美少女・ルルちゃん。 食材は、必死に命乞いをする「鳴きジャガイモ」。 そして彼女は、それを笑顔で真っ二つにする。 「共感できねーよ!」 画面の向こうの異世界あるあるに突っ込み、言語不明のレシピに絶望する。 ストロング缶を片手に、自分だけが知っている「異世界の放送事故」を観測し続ける男の、不条理で可愛い深夜の記録。 オムニバスなので1話完結。 不定期気まぐれ掲載です。
深夜0時53分。 高校一年の山下孝は、姉と狭い団地で寝床を分け合いながら、お気に入りの深夜ラジオ《ドッとライジング!》を欠かさず聴いていた。 笑いと下ネタで始まるその番組は、ある夜、地元・奥里坂町を題材にした《心霊特集》を放送する。 ──“風の止まるトンネル”。 それを境に、録音ファイルから音が消え、放送そのものが失われる。 やがて町の風が止まり、人々の息づかいまでもが静まり始める。 そして、番組のパーソナリティ・掛水が消息を絶った。 異音の正体を確かめるため、孝たちは封鎖されたトンネルへ向かう。 そこで見たのは、風を封じるために埋められた僧と赤子の即身仏── そして、笑いを媒介に「死者の息」を呼び戻そうとする掛水の残響だった。 風は命であり、声は記憶。 失われた放送の向こうで、誰かが今も囁いている。 ──レッツ、ライジ〜ング。 ◇◇◇◇◇ *登場人物・用語は第一章の後書きをご覧ください。 *この作品はカクヨムにも投稿しています。