ページ:1(2件表示) / タグ一覧へ
ダンジョン救助で人が死ぬのは、 敵に負けた時ではない。 剣を抜いた時だ。 毒、逆流する風、音を運ばない通風路。 そんな場所で、一人の救助班長は剣を抜かない。 彼が使うのは、魔法でも必殺技でもない。 たった数語の、短い合図だけ。 「止」「数」「右」「退」 これは、英雄にならなかった男が、 何も起こさずに現場を終わらせるまでの記録である。
かつて、一通の署名だけで巨大組織の抗争を止め、一晩で三万人規模の組を瓦解させた伝説の「掃除屋」がいた。男の名は、霧羽。 歳月が流れ、裏社会の勢力図が塗り替えられた現代。かつての面影を捨て、日雇い労働者として底辺の日常に埋没する霧羽の姿があった。しかし、偶然の再会が「眠れる獅子」の生存を裏社会に知らしめてしまう。 新興勢力の野心、公安の監視、そしてかつての部下たちの盲信。 霧羽を再び表舞台へ引きずり出そうとする周囲の思惑に対し、彼はただ「動かないこと」で答えを出す。 これは、最強を極めた男が、あえて何も持たず、何もなさず、ただ「堅気」として生き抜こうとする、究極の自制と平穏を巡るハードボイルド・サーガ。