あらすじ
ドイツの育成組織から帰国した天才司令塔・天根蓮。
彼にとって食事は“機能”だった。
味も彩りも不要。
必要なのは、パフォーマンスを維持するための栄養だけ。
しかし、その“正しさ”を同級生の栄養科生・橘椿は一蹴する。
「それ、完成された大人の食事よ。成長期の体を壊す気?」
独学の限界を認めた蓮は、椿に食事管理を任せる。
蓮は“最適な被検体”として身体を預け、椿は“結果で応える”。
――合理に基づいた、対等な契約関係。
そのはずだった。
食事、睡眠、生活、コンディション。
彼女の管理の下で、蓮の身体は限界まで最適化されていく。
やがてその成果は、ドーピングすら疑われる領域へ到達する。
だが――
同じ食事を再現しても、満たされない。
隣にいないだけで、パフォーマンスの“質”が変わる。
合理では説明できない誤差が、確かに存在していた。
それは管理か、依存か。
それとも、まだ名前を持たない感情なのか。
世界を目指す司令塔と、彼を支える管理士。
合理で始まった二人の関係は、やがて契約では定義できないものへ変わっていく。