あらすじ
小学五年生のAにとって、**ナスと牡蠣はこの世で最も嫌いな食べ物だった。
給食で出たナス入りカレーに顔をしかめ、冬にはカキフライ**に苦しめられる。どちらも「絶対に好きになれない」と思っていた。
それから十年後。
大人になったAはふとした旅で**京都市を訪れ、名物の賀茂なす田楽**を食べる。
すると――かつて大嫌いだったナスが、信じられないほど美味しく感じられた。
さらに帰り道、地元の**広島市で立ち寄った店で、広島風お好み焼き**の牡蠣入りを注文する。
そこでAは、本場の味の格別さと、牡蠣の濃厚な旨味に心から驚くことになる。
――子どものころ、あれほど嫌いだった食べ物はどこへ行ってしまったのだろう。
味覚の変化と成長を描く、少し懐かしくて温かい短編。