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突然の国王の来訪に、侯爵は一時間以上待たせてから応接室へ向かった。 かつて、放置された王子だった彼を支えたのは、侯爵の娘だった。しかし王太子になったとき娘を捨て、妖艶な令嬢を王太子妃にした。 今さら泣き言をこぼし、「あれは私の子ではなかった」と嘆く国王に、侯爵は静かに、容赦なく真実を突きつける。 ――「あなたは騙されたのではなく、選んだのです」 過去を悔いて縋る王と、過去を切り捨てた侯爵。 この日、二人は完全に決別する。
国境近くの廃墟で、氷の剣士ユリエルは瀕死の少女を拾った。 記憶を失い、自分の名前すら思い出せない少女――セラ。 だが彼女は、王都から追われていた。 軍勢と魔術師が、生け捕りを目的に迫ってくる。 やがて明らかになる真実。 セラの正体は、王家によって“生贄”として捧げられるはずだった第二王女。 王国を支えるために命を差し出す儀式。 それを拒めば、国に居場所はない。 「もう、させない」 過去に王女を守れなかった剣士と、 生きることを選び直した王女。 氷と血に縛られた運命に抗い、 二人は“王家そのもの”に刃を向ける。 これは、 生贄として生きることを拒んだ王女と、 彼女を選び続けた剣士の物語