あらすじ
娘のリリが見たのは、白い回廊の夢。
「おかあさんの手、離して」
笑う大人たちがそう言って、娘を“良い子”の言葉で追い詰める。
その瞬間、母マリアは転生の記憶を取り戻す。
この世界では「聖女の器」が国家資源として扱われ、条件を満たした子どもは神殿へ連れていかれる。
未来は一つ。娘は“正しい儀式”の名のもとに、母から引き離される。
だから母は決めた。
娘の手を離さない。それだけでいい。
礼儀正しい「保護」の言葉。規定の圧。白い神殿。
けれど母娘が手をつないだまま聖域に立ったとき、同意の紋は乱れ、そして“拒否”を示す金色に変わる。
同意のない儀式は成立しない。
子どもの恐怖を踏みつけて得る聖性はいらない。
握った手の温度が、世界の常識を少しずつ考え直させていく。
これは、革命ではなく「離さない」という一つの決意で世界を変える母娘の物語。