あらすじ
夏休みに家族で父方の祖父母の家へ行った時の話だ。
祖父母の家といっても、いわゆる「田舎」の緑豊かな場所ではない。僕たちが住む街と何一つ変わらない、結局は同じ都内。区が違うだけだ。
…
よく晴れた強い陽射しを浴びながら、僕は公園には行かず、足を延ばして川沿いの土手を歩いていた。アスファルトの照り返しが眩しい。
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すると、どこからか歌が聞こえてくる。
知っている、この歌。僕が生まれるよりも前に流行ったという「Jupiter」だ。知っている女性ボーカルのキーよりは少し低め。男の人が歌っているのだろうか?
澄んだその歌声に導かれるようにきょろきょろと周囲を見渡す。視線の先、土手下の川沿いに、半袖白シャツに黒スラックスの、制服らしい姿の人がいた。髪は少し長めで、川の流れをじっと見つめながら、穏やかな声でその「Jupiter」を歌い続けている…