あらすじ
あなたが私に遺した言葉、今も守っているわよ。
私は今、この人たちやこの世の人たちのために生きている──。
〈彷徨える戦姫〉
これは、英雄ユリア・ジークリンデの異名のひとつ。
彼女は今から千年前、突如として世界中に現れた怪物──〈黒きもの〉を滅ぼすことに貢献したという亡国の姫君。
その名は歴史に刻まれ、今もなお数多の国で語り継がれている。
だが、その歴史はすべて真実なのか。
なぜなら、残された史書はどれも断片的であり、英雄譚と怪しい伝承が入り混じっている。ゆえに「そもそも存在しなかったのでは」と囁かれているのだ。
何が史実で、何が作り話なのかわからない。本当のユリア・ジークリンデはどこにいる?
これらのことから、彼女は〈彷徨える戦姫〉と呼ばれるようになった。
しかし、彼女はまだ生きている。
千年の時を越え、現代で暮らしている。今となっては少数となった、多種多様な姿をした種族──星霊(せいれい)と呼ばれるひとりの友と一緒に。
彼女が胸に宿すのは、戦士としての誇り、届かなかった小さな夢。そして、永遠に消えぬ闇。
混沌とした感情を抱えたまま、過去と現在のあわいを彷徨い続けている。
〈黒きもの〉は二度と現れないと、現代の人々は信じている。今までも一度も現れたことはなかった。
だが、その確信はどこにあるのだろうか。ユリア・ジークリンデの歴史のことでさえ、よくわかっていないのに。
幕は、すでに上がっているというのに──。
そのことは彼女も知らない。
彼女の友である星霊も知らない。
ただひとり、ある者だけが知っていた。
【※ご注意】
この作品は、拙作『ユリア・ジークリンデ ―陰影の戦姫譚―』シリーズの改作です。(改作の元となっているシリーズ作品は、小説家になろうグループの検索や一覧から除外しております)
物語の大筋は変わりませんが、設定や完結に至るまでの道筋は大きく変更しております。