あらすじ
十八歳になったその日、
私は“獣”が棲む呪われた城へと差し出された。
犠牲を捧げなければ、
村全体が滅びる——そう言われていた。
だが、真実はもっと残酷だった。
獣が望んでいるのは、私の“死”ではなく、私の“生”。
私は生まれた瞬間から呪われていた。
毎日、存在そのものが少しずつ削れていく。
そして私を生かすために、獣は夜ごと
私の記憶を一つずつ“食べて”いく。
母の顔も、
妹の笑い声も、
幼い頃の夢さえも——
霧のように消えていく。
やがて、私の中に“私ではない誰かの記憶”が流れ込む。
温かな手。
雪の中で微笑む影。
懐かしすぎる愛の感触。
そして私は思い出す。
獣の正体は、かつて私が愛した人。
私を守るために命を落とした人。
今もなお、私を生かすためだけに消えていこうとしている存在。
これは、
記憶と犠牲と、
すべてが失われてもなお残る愛の物語。