あらすじ
右腕が燃える。使うたびに、少しずつ死んでいく。
炭咲千春にとってそれは七年前から続く事実であり、誰にも言う必要のないことだった。受験当日の朝まで。
ガーデンズ学園で異変が起きた日、炭咲は雪の中に蹲る幼い少女を見つけた。名前もない。過去もない。ただ炭咲の赤いマフラーを握って、初めて会った男を「パパ」と呼んだ。
炭咲はその子に名前を与えた。ステラ、と。
七日後、少女を巡る取引が持ち込まれる。相手は各務財閥の交渉人——十二歳の少女、アリマ。契約書を手に現れたその子は、笑顔の下に何かを隠していた。条件はただひとつ、七日間だけ「家族」を演じること。炭咲が頷いた理由は、復讐のためだった。
だが炭咲は知らなかった。「パパ」と呼ばれ続ける七日間が、七年かけて固めてきた何かを、静かに溶かしていくということを。そしてアリマもまた、「家族」という言葉を誰よりも欲しがっていた子どもだということを。
燃える腕で、どこまで守れるか。 灰になる前に、間に合うか。