あらすじ
完全没入型VRMMO『Aethelgard Online』。
五感を完璧に再現しながらも、唯一「痛覚」だけが排除されたその美しい箱庭は、ある日突然、理不尽な地獄へと変貌した。
空に走ったノイズの亀裂。
警告音とともに降り立ったのは、システムに存在しないはずの異形のバグだった。
絶対の防御力を誇るはずだった親友の盾は、瞬く間に緑色のコードへと分解される。
無敵であるはずの親友の肉体が貫かれた瞬間、ログアウト不能の空間に、あるはずのない生々しい絶叫と血の匂いが響き渡った。
親友がデータごと完全に「消去」された直後、俺の目の前に漆黒のウィンドウが浮かび上がる。
『管理者権限の譲渡を提案します』
『代償として、貴方の神経系はシステムの最深部と直接接続されます』
俺は迷わず、激痛の代償を喰らった。
現実の肉体が焼け焦げるほどの痛覚と引き換えに手に入れたのは、世界のルールを無視し、対象のデータを根こそぎ消し去る規格外の力。
現実世界で報じられる、多数の未帰還者のニュース。
右腕に刻まれた、現実を侵食する黒いアザ。
これは、ただのゲームではない。
親友を取り戻すため、俺はこの狂った世界の底まで潜り、不要なゴミデータどもを片っ端から蹂躙する。
理不尽なシステムをぶっ壊す、血みどろのハッキングが今、始まる。