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授業は進む。 板書は写される。 成績も、進度も、問題はない。 ただ、 誰も質問しなくなり、 誰も名前を呼ばなくなり、 説明の痕跡だけが残らなくなっていく。 これは、 教室から少しずつ役割を削られていく教師の話です。 誰も悪くありません。 問題も発生していません。 最初から、 そうだっただけです。
通知は正確で、 判断は早く、 処理は滞りなく進む。 スマートフォンは、 彼より先に決定し、 彼より先に完了を知らせる。 それでも、 問題は起きない。 誰も困らない。 ただ、 本人が参照されなくなっていくだけだ。 これは、 正しく機能している世界の中で、 人が判断対象から外れていく話。 最初から、 そうだっただけである。
その家には、最初から「安らぎ」があった。 誰もが自然に避ける場所があり、 誰も理由を知らない決まりがあり、 それでも生活は、何ひとつ問題なく回っている。 欠けているのではない。 最初から、そうなっているだけだ。 これは、 家族という仕組みが完成していく過程で、 ひとつの存在が「基準」になった話。
経理課には、朝が早い理由がある。 窓際の席に置かれた、しっとりした食パン。 見切りのシール。増えていくミニトマト。 そして、静かに消えていく人間。 会社が毎日精算しているのは、数字だけではなかった。