あらすじ
警察官の春久(はるひさ)は、異動を機に独身寮を出て、賃貸マンションで一人暮らしを始める。
若くして生活安全課の係長に抜擢された彼は、期待を背負う一方で、二十三歳での離婚を経て「一人でいる気楽さ」を選んでいた。
趣味のツーリングやキャンプを楽しみ、社会人学生仲間の海(カイ)を家に招く日々。
人付き合いに遠慮がちなカイだが、春久の家で料理を振る舞う時間は、彼にとっての安らぎとなっていた。
しかし三年の月日が流れた頃、春久は執拗なストーカー被害に遭い、転居を余儀なくされる。
新天地として選んだのは、以前より広く、何より「カイが過ごしやすい」家だった。
そこで舞い込んだのは、一匹の猫を飼うという選択。
「お前も一緒に面倒を見てくれるなら、飼える」
あえて出したその条件。猫にのめり込んでいくカイと、それを見守る春久。二人の日常はより深く、静かに交わっていく。
長い年月の中で、春久が押しつぶされそうな時、カイが耐える時。
ほんの数回、それぞれの支えとして交わされた膝枕や抱擁。
これは、生活安全課係長として奔走した五年間の激動の日々を軸に、やがて二人が「真の居場所」に辿り着くまでを描く、十年の歳月の記録。
※BL要素はありません。
※キャンプ描写や警察業務の日常を丁寧に綴る、スローペースな超長編物語です。