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書と歌を尊ぶ国――メモリア王国。 その国には、神の声を語り、記憶を整える存在がいる。 人々は彼女を神凪、あるいは神の花嫁と呼んだ。 幼い頃から城で育った少女ノエリアは王子アスベルと共に学び、笑い、未来を語ってきた。 彼女はまだ知らない。 自分がいずれ忘れない神 記憶神《セファ=ノア》と深く結びつく運命にあることを。 神はすべてを覚えている。 人が忘れた痛みも、失われた祈りも。 そして、その重さに、静かに壊れかけていた。 神を救うために必要なのは語り部。 だが国は定める。 神は神凪を愛してよいが、神凪は神を愛してはならない。 これは、忘れることを許されない神と 選ぶことを許された人間たちの物語。 記憶は、罪か。 それとも、救いか。
海に囲まれた国ルミナリア。 小さな浜辺の村で暮らす少女カノンは、歌うことが好きだった。 彼女はまだ知らない。 その歌が、海神に届いていることを。 そして、自分が“神凪”と呼ばれる存在になる未来を。 神殿、王族、神官たち。 それぞれの立場と祈りが交差するなかで、 カノンは少しずつ「神と人の距離」を知っていく。 神は見守る存在であるべきなのか。 人は、神に触れてはいけないのか。 名を呼ぶこと、 声を交わすこと、 そして――選ぶこと。 これは、 神に愛された少女の物語ではない。 神を“神のまま”生かすことを選んだ、 ひとりの人の物語である。