あらすじ
皇歴三二五年。
ルールと共生契約によって魔力生物を管理する国家・セレニティは、安定と秩序を何よりも重んじる国として知られていた。
魔力生物の心は“未発達である”とされ、人権も市民権も持たない。
だからこそ、彼らは戦力であり、資源であり、他国との交渉材料でもある。
だが、国の北方では、まだ誰も気づいていない大陸規模の緊張がゆっくりと膨らみはじめていた。
十数年後、この火種が第二次大魔戦争へと姿を変えることを、まだ誰も知らない。
物語は、
人間と魔力生物が“相棒(バディ)”として組まされる冒険者制度を軸に進む。
選択するのは人間、選ばれるのは魔力生物。
魔力生物には拒否も否定も許されず、ただ“相性”によってひとりの冒険者へ紐づけられる。
それは冷たい制度ではあるが、壊れてはいない。
セレニティは、国を守るために必要な“合理性”をただ粛々と貫いているだけだ。
そんな国で──
ハイエルフのミコと、人間の捜査官フィニスは、ギルド内の調査局に所属し、
日々、各地の冒険者の屋敷を巡査している。
淡々と運用される制度の裏側で、
冒険者たちは静かに日常を積み重ね、
魔力生物たちは何も知らぬまま主に従う。
その均衡は、まだ崩れていない。
けれど、遠い地で蠢く戦争の気配は、確かにこの国へ近づいていた。
そしてミコとフィニスは、
“ルールに支配された世界の正しさ”と
“誰かの小さな幸福”のあいだに揺らぐ、
最初の亀裂に触れ始めることになる──。
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午前5時隔日更新