あらすじ
世界エルディアス。
神と竜、そして人が共存するこの世界では、いずれ“魔界の暗黒龍”がすべてを滅ぼすと予言されていた。
それに抗う存在――勇者。
剣と魔法を極め、限界を超えて戦う選ばれし者。
だがカイゼル・ノクスは違った。
彼は剣も魔法も扱える。
だがどれも決定打に欠け、“何でもできるが何も足りない”と蔑まれる存在だった。
それでも彼は諦めなかった。
努力を続け、勇者であろうとした。
だがある任務で仲間を庇い致命傷を負い、見捨てられる。
「お前はもう必要ない」
その言葉と共に、すべてを失った。
死の淵で彼は“原初の竜”と出会う。
「お前は、人間ではない」
竜の血を与えられた瞬間、眠っていた“神の残滓”が目覚める。
神と竜――交わらぬ力が融合し、彼は覚醒する。
だがそれは光の勇者ではない。
神にも竜にも属さぬ“異端の存在”。
力を得た代償として、彼は人から離れていく。
感情は削れ、孤独だけが残る。
そんな彼の前に現れたのは、少女ルミナ・セレスティア。
かつて別の世界で命を終え、神々に導かれ転生した存在。
その使命は――カイゼルを救うこと。
彼女は強くはない。
だが彼を支え、癒し、決して見捨てない。
「……大丈夫。あなたがどんな存在でも、私はそばにいる」
その言葉が、彼を繋ぎ止める。
やがて二人は歩き出す。
迫り来る暗黒龍、世界の終焉。
だが彼にとって大切なのは――ただ一人の少女。
これは、異端の勇者が一人の少女に救われ、
人としての心を取り戻していく物語。
そして彼は選ぶ。
世界か、それとも――彼女か。