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1937年。昭和12年のこと。 主人公・佐田東(さだあずま)はそれなりの家庭で生まれ育った、第一高等学校の学生であった。しかし、彼は平々凡々な男であった。 彼を形作り、彼の居場所であるのは図書館だった。 そして、彼を構成したのは、物語を綴り続けることでもあった。 「これですか? これは、あの作家が書いたものなんですよ。知らない? そうですよねぇ。あまり売れなかったと聞いていますから。ああでも、あれには載ってましたよね…そうそれです。便覧にはね。え? どんな人だったか知りたい?聞いても、そんなに面白くないですよ…」