あらすじ
答えを出さないまま、展示は続いていく。
二〇五〇年。
大阪湾の地下一〇〇〇メートルに、一般には存在しないはずの施設があった。
通称――「地下万博」。
そこに招待されたのは、年齢も背景も異なる数人の若者たち。
案内役はAI。
目的は不明。
制限時間は七日間。
中学生の少年・咲良要は、父とともにこの奇妙な空間へ足を踏み入れる。
だが、地下万博に並んでいたのは、最先端技術や完成された未来像ではなかった。
展示されているのは、人間。
そして、人と人が関わることで生まれる「まだ名前のない何か」だった。
「正解は用意されていません」
「完成させる必要もありません」
そう告げられた万博で、要は論理、直感、俯瞰という異なる才を持つ少女たちと出会う。
彼らは協力し、時にすれ違いながら、地下での七日間を過ごしていく。
だが、この万博は何かを“達成”するための場所ではない。
誰かが答えを出すことで、世界が救われるわけでもない。
求められるのは、選択。
そして時には、選ばないという決断だった。
地下万博は、未来を展示する場所ではない。
問いを、そのまま持ち帰るための場所だ。
これは、未完成のまま終わらない展示の記録。
そして、地下で始まり、地上へと続いていく物語。
――答えを持ち帰らなかった僕たちは、
それでも確かに、そこにいた。