あらすじ
不気味な白い瞳の娘と、赤い悪魔と呼ばれた侯爵。
二人が出会ったのは、偶然か、それとも運命だったのか。
「黙って頷いていればいい」
母の言葉だけを支えに、アリア・リリオーネは自分の意思を捨てて生きてきた。愛を乞いながら、誰にも求められず、誰にも抱きしめられなかった少女。
そんな彼女に告げられた縁談の相手はーー
"氷の侯爵”"赤い悪魔”と恐れられる、カリス・ヴァレンティ。
けれどアリアが出会ったのは、噂とは違う男だった。
触れ方に怯え、愛し方を知らない、孤独で不器用なまなざしの持ち主。
そしてカリスにとってもまた、アリアの白い瞳は、失われた温度を取り戻す唯一の光になっていく。
ーー二人はまだ知らない。この出会いが、お互いの抱える歪みを、もはや隠しきれないほど深く抉り出すことを。
互いの傷が互いを引き寄せ、優しさは次第に執着へと、思慕はいつしか依存へと変わっていく。
「私をもっと褒めてください」
震える声で懇願するアリア。
「このまま誰も見えない檻に、アリアを閉じ込めてやりたい……」
抑えきれず漏れるカリスの独占欲。
踏み込めば壊れてしまう。
引き返せば二度と会えない。
そんな綱渡りのような純愛が、ゆっくりと形を変えながら深まっていく。
『赤い侯爵と白い花嫁』一ー
それは心の欠片を差し出し合うようにして始まった、二人だけの切なくも美しい純愛の物語。