あらすじ
千年に及ぶ戦いの果て、勇者と魔王の戦争は終わった。
敗れた魔王アークルは死にきれず、異界の裂け目を抜けて、現代日本へと流れ着く。
力を失い、人の姿となった彼がたどり着いたのは、小さなメンタルクリニックだった。
そこは「アースこころクリニック」。
担当医は、穏やかな笑みを浮かべる精神科医・白石夕凪。
初診票の主訴欄に、アークルはこう書く。
――世界を滅ぼす気力が出ません。
戦いのない世界で、初めて知る“心の病”。
通院を重ねるうちに、彼は「怒り」や「孤独」ではなく、
「赦し」と「再生」という人間の痛みに向き合っていく。
勇者ミリアとの再会。
現代での生活。
そして、心の奥に残る罪との対話。
これは、世界を滅ぼした男が、
自分自身を“治していく”物語。