あらすじ
◆シリーズ総合あらすじ
――ロゼッタ 〜憂楽屋事件簿〜――
駅裏の路地にひっそりと佇む古物商《憂楽屋》。
店主・憂楽(ゆうらく)は、かつて英国で論理学を学んでいた男だ。
しかし──ロゼッタストーンとの邂逅が、彼の人生を静かに反転させた。
「論理だけでは、世界は読めない」
その瞬間に得た“多層の視界”。
物に触れたとき、その表面に残る感情・過去・未来の揺らぎが、
層を成して視えるという特異な感覚。
憂楽はその力を頼りに、古物の“語られなかった物語”を読み解きながら、
現代に伏流する事件へと関わっていく。
デビュー作となる連作ミステリ《憂楽のアイシャ》では、
白ジャスミンの折り花を残す連続殺人が発生。
古物に隠された「折り花の文法」を解き明かし、
憂楽は“復讐”ではなく“守護”へと至る、静かな真実に辿り着く。
だが、憂楽屋の世界はここで終わらない。
閉ざされた洋館の惨劇《風車城事件》では、
古物の残響が複数人の証言を“食い違わせる”という、
本格ミステリの構造へ挑戦。
ひとつの遺品が、館に隠された殺意の地形を照らし出す。
史実の裏側を古物から読み解く《歴史ミステリ篇》では、
忘れられた人物の日記、焼け残った武具、
手稿の走り書きなどが、
教科書の影に隠れた“もうひとつの真実”を静かに開示する。
さらに《憂楽・過去編》では、
留学時代の憂楽がまだ“物を読む力”を持たなかった頃の物語が語られ、
なぜロゼッタストーンが彼を泣かせたのか──
その核心へと迫る。
そして時に、
情報操作を武器とするインフルエンサーΩや、
都市の“ノイズ”を読む男・勾視音(まがり・しおん)ら、
他シリーズの人物と世界が交差し、
最終的には一つの巨大な真相へと束ねられていく。
これは、
古物に宿る“声なき物語”を読み、
世界の裏側を静かに照らす男・憂楽の、
終わらない事件簿である。
ロゼッタが示すのは、
過去ではなく──未来だ。