あらすじ
かつて神の奇跡によって大陸を支配していたアルトリヒト神聖国家は滅び、
今やアミュール大陸は「人の理と力」で統治するオルデンブルグ帝国の時代となっていた。
その帝国の中心に立つのは、
冷静無比で完璧すぎるがゆえに「若き氷刃」と恐れられる皇太子アレクシウス。
そしてその妃――
月光のような銀髪と碧眼を持つ、静かで美しい皇太子妃エルフリーデ。
だが彼女には、帝国がひた隠しにしてきた“秘密”があった。
それは、かつて神の血を宿した王家――
アルトリヒトの最後の血を引く存在であること。
神の奇跡はすでに失われたはずの世界で、
彼女は「神の器」として生まれながらも、
祈りも、声も、使命も与えられなかった。
一方、アレクシウスは完璧な皇太子として帝国を支えながら、
ただ一人、エルフリーデだけに異常なまでの執着と愛情を注いでいる。
その微笑の裏で、彼は彼女を傷つける存在を
政治と策略で静かに、確実に排除していく――。
これは、
世界を救うために生まれた“神の器”ではなく、
世界を壊しかねない「一人の天才」を引き戻すために生まれた少女と、
その少女を守るためなら嘘も冷酷さも厭わない皇太子の物語。
神を失った世界で、
それでも人は、人として生きられるのか。
――神の器と、嘘つきな皇太子の物語。