あらすじ
深夜の水槽食堂に、また一人のお客さんがやってきた。
塾帰りの夜、楽しかったはずのカラオケの余韻よりも、胸の奥に残る冷たい空洞が消えない。
みんなと一緒にいるのに、なぜか「置いてけぼり」のように感じてしまう――。
そんな心を抱えたまま、私は路地裏の『水槽』へ迷い込む。
トラ猫のマスターが見せてくれたのは、周囲の色に染まってしまう「カメレオン・フィッシュ」。
群れに近づけば苦しく、離れれば不安に震える、その姿はまるで今の私。
だが、岩陰の“シェルター”に身を寄せた魚は、初めて自分だけの淡い月色に光り始めた。
――一人は、充電の時間。
放電しきった心が、自分の光を取り戻すための夜。
水槽食堂が贈る第三話は、人混みの中で迷子になった心がそっと光を取り戻す物語。