あらすじ
春――桜舞う坂道、夕空坂。
その坂を登る少年・夕月玲は、名門・花ノ宮学園へと足を踏み入れた。
月を司る「夕月家」の跡継ぎとして、そして“花札”を受け継ぐ五家のひとりとして。
花ノ宮学園は、全国から選ばれた名家の子女が集う全寮制の中高一貫校。
学園では、月に一度行われる“花札大会”が伝統として受け継がれていた。
勝負の勝敗はただの遊戯ではなく――
家の誇り、そして次代の“月”を継ぐ者の象徴でもあった。
入学初日、玲は一人の少女と出会う。桜の花びらの中で微笑む、桜坂美奈。“桜を司る”桜坂家の令嬢にして、学園中の憧れの存在。
玲にとって彼女は、まるで夜空に浮かぶ月に手を伸ばすような、絶対に届かない存在だった。
けれど、同じ「五家」の名を背負う二人の運命は、
その日から静かに交差していく。
――これは、花で綴られた恋の物語。
六年間にも及ぶ光り輝く物語と、ひとつの満月が導く、静かで眩しい青春の記録。