あらすじ
三十五歳、無職。
かつて証券会社のシステム部で働いていた佐藤はじめは、親戚の蔵の片付け中に「若返り」と書かれた謎の薬を見つける。誤って口にしてしまったその薬は、彼自身には何の変化ももたらさなかった。
しかし一週間後、瀕死だった老犬が奇跡の若返りを遂げる。
――若返ったのは、薬を飲んだ者ではなく、“その体液を受け取った者”だった。
薬は人を若返らせるのではない。飲んだ人間を、若返りを供給する「製造機」に変えるものだったのだ。
他人の寿命を延ばせる力は、やがて金と欲望、そして倫理の境界を侵食していく。
若さは甘美で、取り返しがつかないほどに甘すぎた。