あらすじ
「状況終了」
その言葉だけを待ち望んで、今この瞬間も勇者たちがモンスターと戦っている。ゼファリア帝国には秘密がある。精神の均衡が崩れた勇者は、クラス本来のリミッターが外れ、通常では到達し得ない出力を発揮する。【心的外傷後ストレス障害】――いわゆる【PTSD】。トラウマ体験によって引き起こされるフラッシュバックや悪夢の症状が深刻であるほど、発現する力は大きい。帝国はこの法則に基づいて軍事運用を構築してきた。帝国はこの秘密を千年前に発見し、以来、勇者の精神を意図的に摩耗させることで最強の軍事力を維持してきた。心療師の存在は勇者を癒やすためではない。戦場に送り返せる最低限の状態に「修理」するためだ。
だから帝国は勇者の心を壊して、最強の兵器にする。心療師の少女は最強の勇者を治そうとするが、治せば勇者が弱体化し、国が滅ぶ。勇者は言った「俺を治すな、弱くなる」。善意と不条理が正面から衝突する。