あらすじ
人間は善人か、悪人か。
その問いは、そもそも間違っているのではないか。
本作では、人間の倫理的行動をカードゲームのメカニクスにたとえた「善悪デッキ理論」を提示する。
人はそれぞれ異なる善悪傾向のデッキを持ち、その瞬間に引かれた手札の中から行動を選ぶ。善人に見える者も悪い手札を引くことがあり、悪人に見える者にも別の選択肢が存在する。疲労、恐怖、貧困、孤独、教育、共同体、刑罰、治療――それらは手札の枚数や質に影響を与える。
一度の行動で人格を断定してよいのか。
犯罪は個人の悪性だけで説明できるのか。
自由意志と環境要因は、どこで両立するのか。
善悪を「本質」ではなく、「デッキ・手札・プレイング・マリガン」の相互作用として捉え直す、倫理と人間理解のための思考実験。